精神科病院には、「保護室」と呼ばれる部屋があります。この部屋に関する知識を持っている方は少ないようですが、いわゆる「閉鎖された空間」であり、数日間入室することで、精神の安定を促す働きを持っています。部屋自体の出入りの自由は一切なく、その病棟も他の病棟とことなり隔絶されています。そのため「閉鎖病棟」「隔離室」等と呼ばれることもあります。部屋の内部では自傷行為や自死行為等の懸念を取り除くべく部屋の中のすべてのものを排除しています。
簡易的なトイレと布団のみという簡素な部屋が一般的です。窓などから光を取りこむことができますが鉄格子などで覆われているという病棟がほとんどです。保護室への入院は、精神に関する病状が悪化した場合や、医療及び保護のために身体の拘束が必要になった場合に限られます。本人が自ら閉鎖病棟への入院を希望した場合には、本人の同意が必要になります。また、精神保健福祉法第36条および第37条の法律によって細やかに定められています。
また、保護室への入院措置を決めた場合は、保健所長を通じて都道府県への通報も義務付けられています。隔離された空間での入院期間は、その人によって変わります。精神保健指定医以外の医師の診断および判断によって入室を指示された場合の入所期限は12時間以内ですが、精神保健指定医の診察によって指示が出された場合には制限がありません。ただし、症状が改善された時や、自傷・他害行為の恐れがなくなったと判断された場合は、一般病棟への入院に切り替えることができます。